REVIEW: EXITMAN // SPRINTER (2012)
artist: EXITMAN
album: SPRINTER
year: 2012
country: UK (Scotland)
label: -
FFO: pop music, indie rock, dance
出口男の走り抜ける様はあまりに圧倒的であるのに、あまりに不遇。
覆面バンドとして突如現れたEXITMANの衝撃から10年が経ったが、未だにそれは薄れることはない。エレクトロ・ポップ〜ロックを行き来するとともに、バックグラウンドとしてのR&Bのダイナミズム。渋く深みのあるヴォーカルワーク、シンプルながらも荒々しさと洗練されたダンサンブルな構成が全編を通じて印象的で、80's前後の懐古的な音楽性を近年の解釈で作り直したようにも映る。どこか劇場的な構成は、今聴いてもなお新しさを感じさせてくれる。
このリリース当時の潮流があったのだろう。2012年同時期には、時代の寵児となったWilly Moon、La Sharkのようなバンドによるポップミュージックとロック、そしてグラマラスなベースによる力強い音楽性というのがいわば最先端として扱われていたように思うし、それがメインストリームであったならEXITMANについても大きくは異ならないのかもと。とはいえ、非凡さは隠せない。
冒頭#1“Sprinter”〜#4“Love Proof”の流れは圧巻。また、EXITMANの魅力を押し上げる#3“Astronautik”の音数の少なさと反比例する楽曲の力強さよ。後半、#8“Jesus Dance”、#9“Trouble Not”と、洒落たバーでも、ダンスフロアでもと、全く場所を選ばないダンスミュージックというのも面白い。最後はアンプラグド、ギター一本で叫ぶ#10“No Surrender”で締める。アルバム1枚を通しての密度が尋常で無い。
上に貼り付けた映像で気づいた人もいるはずだが、このEXITMANはそう、俳優Ewen Bremnerその人によるソロプロジェクトである。スコットランド出身の彼は、名作「トレインスポッティング」他、数多の作品で名演を続けている。今年2022年は、ブリット・ポップを生み出したクリエイション・レコーズを取り上げた「クリエイション・ストーリーズ」が日本でも公開されたところで、リリースから10年経った節目で改めて彼自身の音楽を取り上げたいと思いレビューに至った。彼自身に注目すると、どことなくこのEXITMANの音楽性自体が俳優人生から得られたものの描写であり、「トレインスポッティング」の劇中歌を手掛けたUnderworldからの影響も隠せないようにさえ。
是非、聴いて欲しい。リリースはBandcampで、CDのみだが、正直なところレコードでこそ欲しい作品でもある。個人的にこのプロジェクトにはかなりの思い入れがあり、正体を知る前からあまりの格好よさに惚れ込んでいたところ、正体がEwenというところで二重に驚いたのを記憶しているのだけれど、当時からもこのプロジェクトについてはあまり話題にもならず、さらにはEXITMANのアカウントもEwen本人が運用していると思われるにも関わらず全くフォロワーも増えず、なんというかもっと騒がれてくれとしか思えないプロジェクトである、、、
EXITMAN
bandcamp: https://exitman.bandcamp.com/
twitter: https://twitter.com/EXITMANMUSIC









