モーターショーを観に行く。一言で言えばつまらないショーだった。会場・展示内容・運営など、様々な面で今までの中で最低のショーだった。しかも入場料は値上げ。出展社数が少ない、特に外国勢がほとんど来ないので、あまり期待はできなかったが、それを考慮しても残念なショーだった。
注目の1台はLexus LF-30。日産のGT-R、ホンダのNSXに対して、欧州勢に対抗できる本格スポーティーカーを持たないトヨタだが、LexusブランドでLFA以来の参入を目指しているようだ。EVということもあり、デザインの自由度を生かしてかなり個性的なデザインとなっている。空力を考慮しているのか、ドアやテール部分にやや絞ったようなラインが有り、角張ったイメージが有る。ガルウイングは好みが分かれそうだ。パッと見たところ、あまりにあっているようには見えない。なぜか。後部座席は乗降しづらくなるが、通常の2ドアのほうがいいような気もする。トヨタなのでミラーレス。今は違和感があるが、慣れの問題か。いまの所、トヨタとしての差別化のポイントでもある。コンセプトカーと言っているとおり、まだ市販車には遠いイメージだ。堅実に売れる車を作るトヨタとしては、チャレンジングな車となりそうだ。LFAに次ぐ車種をEVで考えています、程度のメッセージとして受け取っておこう。
次はメルセデス。数少ない海外出展メーカーの一つ。こちらもコンセプトカーではあるが、Lexus LF-30のこれでもかと言うほどの新技術コテコテさに比べると、かなり自然だ。落ち着いた色合いのツートーンが戻ってきている。メルセデスは、車種が少ないので統一したデザインを維持しやすいのかもしれない。絶妙な曲線で縁取られた車体。デザイナーは、過去の車種もじっくり研究しているだろう。そして、メルセデスとしての風格を維持するデザインを求められているだろう。前回も、「Tokyo Design」として助手席側が観音開きとなるコンセプトカーを展示していた。実現性はともかく、メルセデスとして、日本マーケットを重視している姿勢を強調した形だ。乗降が楽に見える観音開きの車だが、なかなか実用化されないのは、剛性に難があるからではないかと推測する。屋根の支持だけではなく、ヨーイングにも難がありそうだ。高速道路で横風を受けたときには、ハンドルを取られたり予期せぬ影響が出そうだ。今年はオーソドックスな作りとなっており、かつ未来を感じさせる仕上がりになっている。少なくともLexus LF-30より完成度は高そうだ。すぐには出てこないとは思われるが。ただ、個人的にはメルセデスには懲りている。
今回のモーターショーは、入場者数が130万人を超えたとのことで、興行的には成功したかもしれないが、本来のモーターショーとしては大きな不満が残るショーとなった。モーターショーの凋落は、日本だけではなく先進国に共通した課題となっている。若者のクルマ離れと言われて久しいが、その原因がどこにあるのかは分かっておらず、自動車というコンテンツそのものが一般化・コモデティ化した結果、車を比較検討するというより、トヨタならプリウス、ホンダなフィットと言ったように一般的な売れ筋車種を指名買する層が増えてきたのではないだろうか。車に求めるものが日常の足であり、特別の存在ではなくなったことが大きく影響しているかもしれない。
また、来年の東京オリンピック・パラリンピックの影響でビッグサイトの東棟が利用できなかった。この影響は大きく、西・南棟だけではなく1.5km離れた青海にまで会場が広がっていた。駅の反対側で、同様に青息吐息の大塚家具のショールーム横の通りも展示会場となっていた。まさか、テレコムセンター脇を歩いて通ることになるとは、想像すらできなかった。
青海の駅付近では「Future館」なるものもあったが、間違いなくそこに車の未来はない。それは過去が証明している。今のハイブリッド、EV、水素自動車、自動運転などの技術的観点、さらにはデザイン面において、20年程度前はさておき、30年、40年前には予想すらできなかったはずだ。もちろん、動力源や省エネ、環境的な観点で研究はされてきたはずだ。そのような意味で、今考えている未来は、実現性はあるかもしれないが実際にはまず来ない「未来」だろう。
イベントとしては成功したとは言え、ショーとして考えると、今回だけでも幕張に戻るという選択肢はなかったのかなと感じる。今回の成功を受けて、次回もイベント型・子供向けの指向をさらに強めると思われるが、モーターショーとしての看板を維持できるかは、次回が正念場になるかもしれない。