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【2018年秋冬パリコレクション ハイライト3】躍進する日本人デザイナーたち
(写真 LVMHプライズショートリスト ダブレット デザイナー 井野将之)
2018年秋冬パリコレクションでは自然からインスピレーションを得たデザインも目を引く。自然の強さを表現したコレクションやボタニカルなモチーフや柄をスポーツアイテムやダウンなどに取り入れたり、チェックなどとミックスしたりしている。また、チェックなど英国的なクラシックも残る中で、伝統的なテクニックに再注目するブランドもある。
◆イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)
イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は「Silent Energy」をテーマに自然が持つ本質的な力を表現した、強く、ぬくもりのあるコレクションを見せてくれた。ニットとスチームストレッチによるプリーツという2つの素材を融合。太番手の毛糸を織り込むことによって温かみと弾む軽さの両方を持った素材を開発した今シーズン。この新素材はハイテクで遊び心がありながら、それを感じさせないほどナチュラルで、しかもウォッシャブル、つまり洗うことができるものだという。また、雪と光、あるいはシロクマを思わせる白のダウンとファーのような素材を使ったコートなどのアイテムも、強さとぬくもり、冬の寒さから身を守る暖かさ、イヌイットのイメージなどを感じさせる。
アクセントのサングラスも印象的だ。これまでは素材やテクニックが前面に出ていたが、より自然の本質を捉えたように自然で、心や軽さ、人を包み込む服作りなどがこれまで以上に強くなった。テクニックや素材、造形美の実験、新しい方向性などはもちろん、現代の服に必要なぬくもりや快適性、ほっとする部分と野生の力、エネルギーという自然の本質が共存するコレクション。もちろん、これはイッセイ ミヤケの本質でもあり、宮前が次のステップに移行しようとしていると言えるのかもしれない。
◆アンダーカバー(UNDERCOVER)
アンダーカバー(UNDERCOVER)は若くフレッシュなコレクションを発表した。「WE ARE INFINITE」をテーマにした今シーズン。プチパレすぐ近くの透明のテントに登場するのは少女のようなモデルたち。スエットをモチーフに光沢のある素材などで表現したデザインやしわくちゃのTシャツをデフォルメし、形状記憶させたようなデザイン。70年代を思わせるレトロなスポーツやカレッジスタイル、アイビールックをモチーフにしたアイテム、大学のロゴ風モチーフを取り入れたスタイルなどが続く。色は鮮やかな赤やグリーンがアクセントになっている。足下のブーツにも「WE ARE INFINITE」という文字が書かれている。
1年前のコレクションで見せた、ハチのようなシルエットのクチュール的ドレスとも前回の双子のリバーシブルで見せたシリアスさとも、メンズコレクションで見せた60年代や宇宙ルックとも違う、トラッドでありながらも若く軽い。前回のコレクションの若いモデルの延長でありながらも、アバンギャルドでもクチュールでもない、いい意味での裏切り、自由にその先に行ったと言えそうなコレクションだ。
◆マメ(mame)
既に知名度がある東京のデザイナーに、パリコレ会期中のショー開催をサポートする「FASHION PRIZE OF TOKYO」第1回受賞デザイナーに選ばれた黒河内真衣子のマメ(mame)がパリでプレゼンテーションを開催した。モデルを使い2018年秋冬コレクション16ルックを発表するとともに、荒木経惟とのコラボレーションによる作品「アラマメ」など、これまでの活動やブランドを紹介した。1年前のコレクションでは東北への旅や伝統工芸からインスパイアされた作品を発表し、日本的な美しさも表現しているマメ。
今シーズンは地方に残る日本の伝統的な技術や素材を同時代の感覚で表現したシャルロット・ペリアンのように、日本に脈々と続く技術を駆使したデザインを改めて強調した。受賞デザイナー発表会での「ショーを行うことが最終目的ではありません。これをきっかけにして海外での新しいビジネスを広げたい」という言葉通り、身近でじっくりとみせることでハンドクラフトを駆使したデザインをわかりやすく伝えるとともに、それを機械編みのニットに落とし込んだデザインなども提案した。
◆アンドリュー ゲン(ANDREW GN)
イヴ・サンローランや自然へのオマージュとでも言えそうなコレクションを見せたのはアンドリュー ゲン(ANDREW GN)。構築的でマニッシュなジャケットに自然のモチーフを表現した刺しゅうを施したデザインや、花の刺しゅうとともに花のように広がる袖がアクセントになったオートクチュール的なドレス。数シーズン前はデニムなどが印象的だったアンドリュー ゲンだが、今シーズンはクチュールやエレガントなアプローチで変化を出した。
◆クリスチャン ワイナンツ(CHRISTIAN WIJNANTS)
クリスチャン ワイナンツ(CHRISTIAN WIJNANTS)も自然からインスパイアされたウインター・ボタニカル、アーバン・ナチュラルと呼べそうなコレクションを打ち出した。花や植物などボタニカルな要素と空のような青と大地を感じさせる土の色。そこにクチュール的な結びのテクニックやボタニカル柄とチェックのコーディネート、ダウンなどのスポーツアイテムとボタニカル柄のミックスなどで新しさを出している。スポーツやクチュール的な要素を加えたことでエスニックというよりも都会的なムードが強いコレクション。
◆LVMH カクテルレセプションパーティー
(アキコアオキ デザイナー 青木明子)
また、3月1日にはLVMHプライズショートリストに選ばれたデザイナーとコレクションを紹介するカクテルレセプションパーティーが開催された。
日本から出席したアキコアオキ(AKIKO AOKI)の青木明子は「光栄です。選ばれるとは思っていませんでしたが、世界的な賞で興味がありました。今回、見ていただいて『すごく日本的』と言われました。自分の持っているものと西洋的なものの違うと良い勉強になりました。これからのものづくりやコレクションに生かしたい」。
ダブレット(doublet)の井野将之は「単純にうれしい。やるべきことを精いっぱいやってきたことが認められたのだと思っている。ただ、今回選ばれたからといって、ものづくりは変わらないし、そんなことで変わったら駄目だと思う」などと話した。
Text&Photo by Shinichi Higuchi
number (n)ine, fall/winter 2009 featuring photography by Charles Peterson
lil bit obsessed.