黄色でなければ
あれは小学3年生、理科の授業で星座の勉強をする時期だった。
その日出た宿題は、オリオン座を観察してそれをプリントに描いて提出するというものだった。
星が登ってきた頃、裏庭に回って空を見上げる。フェンスの向こうは貯水池になっているため景色は開けていた。
以前から、リボンの形をしているのがオリオン座だと母から教わっていた。当時はよく車から降りて玄関に入るまでの短い時間に、星を見上げ指差して笑い合ったものだ。
見慣れた夜空のリボンは探すほどでもなくすぐ目についた。
星を丸で表し、それをオリオン座の形に並べる。
白いプリントと黒い空を何度も照らし合わせながら、よく知った星座を丁寧に紙の中に落とし込んだ。
そうしているうちに私は気づいた。星は黄色じゃないのだと。
今まで見てきた星というモチーフは大体が黄色をしていた。
アニメでもシールでも絵本でも、星は五角形で黄色に塗られていた。
しかしこうして改めて対峙すると、星は白く光っているのだと気づいた。
白っぽいような、水色にも見えたような気がする。うっすらオレンジっぽいものもあった気がするが、少なくとも鮮やかな黄色ではなかった。目の前に広がる決して大きくない光の点たちは、思っていた色とは違った。
使い古したクーピー12色セットの中に、星の色を示す一本はなかったのだ。
大発見だった。
星を表した丸の中を、淵だけうっすら水色に塗った。
白いままだと塗り忘れたように見えてしまうからだ。
そして白が際立つように、周りの夜空を黒と青を混ぜながら塗った。
プリントいっぱいに広がった夜空。自信作だった。
数日後、先生から帰ってきたプリントには赤ペンで三角がつけられていた。
周りの子を見渡すと、星を黄色に塗ったクラスメイトたちは丸をもらっていた。
どうやら星が白に見えていたのは私だけだったらしい。
自信満々の大発見に三角をつけられた私は、納得できずにその夜もう一度空を見上げた。
目を凝らしても、どれだけ細めてもオリオン座は白いままだった。













