楽しい部活動 -微小貝部-
会社を辞めて実家に帰ってきてぶらぶらしてるお姉ちゃんと二人で海に向かう途中、サービスエリアでお姉ちゃんは自動販売機のハンバーガーをはふはふして、これがおいしいんだわと嬉しそう。 湿って丸まったほかほかのハンバーガーは貝の様だった。
「微小貝って、あの砂浜の砂に混じってる、あのー米粒よりちっさい、ああいうやつ?それに関する部活って変だね」 「そうだよ・・」 「集めてどうすんのソレ」 「うーん、かわいいから・・」 「なら納得だわ」
お姉ちゃんはすんなり納得し、私たちは車で1時間半かけて海浜公園にたどりついた。季節はずれなので人はほんとにまばらで風が駆け巡ってるそこらじゅうを。
私はさっそくしゃがんで虫眼鏡とかも使って砂をさらさらどけたりして微小貝を探した。お姉ちゃんは、私はここでスマホをいじっているよと何かの記念碑みたいのに斜めに寄りかかっていた。風で髪がすごい舞って面白い。
こうやってじいっと砂を眺めているのは本当に楽しくて、ざざぁ・・と波の音はするし風は涼しいし太陽は暖かいし眠くなる。目の前には淡い色の砂に混じって柔らかい薄桃色だったりする小さい貝がらが混じってたりしてパステル・・天国には砂浜、あると思うけどなぁ・・
ずさっ!と隣にお姉ちゃんが砂の上に寝転んできて、ていうかこうやってねっころがった方が探しやすいよねと言って自分も探し始めた。
「砂さー」 「うん」 「持って帰っちゃだめなのかね」 「うん?」 「いやそしたらうちにいる時でもいつでも探せるじゃん。例えばペットボトル一杯分とか持ってけば学校でだって探せるじゃん」 「・・」 「そこまでじゃない?」 「うーん」 「そこまでじゃない?」 「うーん・・」
波が、ざざぁ・・ざざぁ・・と遠くで鳴る。少し綺麗な巻貝が見つかる。
「こんな小さい貝なのにさ、種類があって同じ種類のものは見た目が、大小あれど、一緒じゃん?つまり同じ設計図を共有してるんだよね。不思議だなあ。種類、って概念自体が不思議に思えるよなぁ」
「それに、生物は色々変化するとかいうじゃん?サルが人間にとかさ。でもさこの小さい貝たちはただただ海に育まれてずっと昔からこのまんまだったかもしれないよね。すんごい昔っからさ」
「貝ってのはさ、中身が軟体動物でしょ。てことはもしかしたらタコとかの親戚なのかね?タコもタコツボみたいな堅いある意味殻に入る習性あるし。そうなるとこんな小さい貝の中に入ってたやつももしかしてすごい小さいタコだったりすんのかな」
私は、そういうお姉ちゃんの色んな話を聞きながら、うん、うん、と答えていた。お姉ちゃんは、この世はやっぱすごいなあ、と、探し飽きたのか足を投げ出して海を眺めて言った。
私も、うん、と言った。
「てかさあ」 「うん」 「会社やめちゃったりして、どうしよ」 「うーん・・」
お姉ちゃんの方をむこうと思ったけど、むかなかった。お姉ちゃんはひとり言のように何か言った。
「 ・・っかなぁ・・」
波の音が、鳴る。
















