「社会を変える評価2.0」(ファンドレイジング日本2016より)
毎年この時期に開催されるファンドレイジングの最大イベント、ファンドレイジング日本2016に、日本マイクロソフトの龍治れなさんと、埼玉県共助社会づくり課の今川知浩さんと登壇させていただきました。お題は「社会を変える評価2.0~資金の出し手が求める社会的インパクト評価とは」。
当日私が発表した部分を共有させていただきます。(発表しそびれた内容も含まれます。。。)
なお、龍治さんのプレゼン資料はこちら→http://1drv.ms/1RftLnu
プレゼン資料→ http://1drv.ms/1UpCclG
私は、この企画をFRJ提案させていただいた張本人なのですが、実は以前NPOでファンドレイズする立場にいたことで、ファンドレイジングに対して若干アレルギーになってしまいました。ただ、特定のファンドレイジングに対するアレルギーだということがわかりました。それは、評価がセットになっていないファンドレイジングです。新卒で入った保険会社では、財務諸表(つまり組織の経営状態や活動実績を表す書類)を作る仕事をしていたのですが、NPOで評価をしないということは民間企業でいうと、いくら売り上げたかわからないのと同じなのです。銀行や株主からお金を調達して、でもいくら儲けが出たかわからないといのはあり得ませんよね。ところが、評価をちゃんと実践できていない非営利組織は多くあることに気が付いたのです。そんな問題意識をもちながら評価について勉強したところ、評価にはいろんな可能性があることもわかりました。
Expand
今回のセッションのタイトルにある「社会を変える評価2.0」。なぜ評価2.0なのか。評価と言う言葉は、残念ながら「監査」的な意味でとらえられ敬遠されがちです。特に、お金の出し手と受けてという関係の中では顕著です。評価2.0は、どういう評価かというと、成果志向であることとイコールだと思っています。今回のセッションを通じて、行政も企業も財団も成果志向になってきているということを感じていただき、皆さんも一緒に評価の文化を広めるアンバサダーになって頂ければと思います。
では、ここから本題に入りたいと思います。まずトヨタ財団と私が担当する国内助成プログラムについて簡単にご紹介したいと思います。
つぎに、国内助成プログラムで行っている評価の取り組みについてです。評価は社会を変えるというサブタイトルを付けましたが、これはどういうことでしょう。社会を変えるのは簡単ではありません。たまにソーシャル・イノベーションという言葉をたまに聞きますが、ソーシャル・イノベーションはどうやって起きるのでしょうか?イノベーションというと分かりにくいかもしれませんが、実はイノベーションと改善は本質的には同じなんです。改善を積み重ねて、それを社会に広めることでイノベーションとして認識される。では改善とは、というと、それはPDCAを回していくということになります。
評価というとPDCAのCheckのイメージがあるかもしれませんが、実は各ステップにおいて、評価の視点を置くことができるのです。Planの前後にはニーズ評価とセオリー評価、実施期間中(Do)にはプロセス評価、そしてCheckとActionにおいてはインパクト評価が重要視される視点と言うことができます。本日のタイトルには「インパクト評価」という言葉が含まれていますが、インパクト評価を実施するためには、その前段階であるニーズ評価、セオリー評価、プロセス評価といったことをしっかりやっておく必要があります。逆に事業者側(NPO側)から見るとどういうことかと言うと、きちんとPlanされていない活動のインパクト評価をしても、軌道修正(Action)にやたら時間がかかってしまいます。しっかり練られた事業計画であれば、軌道修正にかける時間は比較的短時間ですみ、このサイクルを回すトータルの時間も短くなります。
計画が大事というお話をしました。成果を生み出す計画とはどういったものでしょうか。今日は3つご紹介します。一つ目は、課題の調査ができているか。トヨタ財団に提出いただく企画書でよくある例が、特定の地域の課題を解決したいのに、書いてある統計データが全国レベルのものになっているものです。やはり活動地域や対象者のことを知るというのは非常に大事です。データの入手方法については、一冊本を紹介しておきますので、参考にしてみて頂ければと思います。2つ目の評価ポイントは、課題分析ができているか。これも企画書で多いのが、課題を書いてもらったものの、表面的になってしまっていることが多いです。例えば、人口流出という課題があるので、人口が増える取り組みがしたいという企画があったとします。でも人口流出の要因分析ができていないのに、活動を始めて果たして効果があるでしょうか。こちらも参考文献載せておきました。トヨタ財団だからトヨタ生産方式を売っているというだけではありません。これは、問題解決全般に使えるツールがたくさん含まれておりますので是非ご一読ください。(例えば「5なぜ」)これら二つのポイントを確認しようというのが、ニーズ評価=「活動や戦略が社会のニーズに合っているか明らかにする。」 です。企画が非常に大事だと分かっても、実際調査をしたり、専門家に相談するのにお金がかかってできない場合もありますよね。そこで、来年度トヨタ財団では、公募で「課題調査・企画立案」を目的とした数十万円程度の助成枠を設ける予定です。
成果を生み出すPlan3つ目のポイントは、ロジックモデルで考えようです。カタカナ用語で恐縮ですが、成果を生み出す計画を多くの人に伝えるコミュニケーションツールだととらえてください。定義・説明については、pptをご参照ください。このロジックモデルをチェックするのがセオリー評価という評価の視点になります。
ご参考までに、多くの方がやったことあるかもしれない身近な事例をロジックモデルに落とし込んでみました。(略) ここまでが、企画段階の評価です、
次に、活動期間中・終了時の評価です。トヨタ財団では、昨年からMSCの要素を取り入れた評価の実施をお願いしております。MSCは何かと言うと、一番した、モスト・シグニフィカント・チェンジの頭文字で、「最も重大な変化」と訳すことができ、参加型手法の一つになります。参加型評価は、評価する人以外の方が評価に何かしらのカタチで関わるということで、「いろんな気づきを与えてくれる。改善目的に有効」な評価手法だと言われています。モニタリングと評価の説明は割愛させていただきますす。
では、MSC手法を取り入れた評価がいったいどういうものか見て行きましょう。例えば、マルチステークホルダーでシングルマザーを支援しているチームがあるとします。中には支援者だけでなく当事者や子どもたちもいるかもしれません。それぞれに、ある一定の活動期間中に起きた「最も重大な変化」ストーリーやエピソードを上げてもらいます。一つです。そこで、それぞれがもちよったものを、議論しながら、さらにチームとして最も重要なもの一つに絞り、それを選んだ理由も整理してもらいます。
トヨタ財団の中間や最終報告書では、こういった質問を設けており、具体的な回答および理由をお願いしております。これが解答事例です。「シングルマザーのAさんは○だったが、△研修に参加したことから、◎に気がつき、それから■ができるようになった」 「これを選んだ理由は、。。。」というような形です。
我々は、MSCを導入し始めたばかりですが、MSCは「プログラム全体の業績を評価するうえで有用であり、インパクトや効果に関する情報を提供してくれる」と考えております。また、狙いとして、先ほどロジックモデルは大事だとお伝えしましたが、ロジックモデルではとらえきれない重要な変化が起きている可能性がある場合、MSCで拾うことができますし、ロジックモデルつまりプロジェクトの設計自体の変更に及ぶこともあるのではないかと思っております。つまり、参加型評価の特徴である、自己改善につなげるのがもう一つの狙いです。
最後に、PDCAを回す上で、Plan/計画が大事だとお伝えしましたが、助成金等。を申請する際は、是非申請先に相談してみてください。トヨタ財団では、企画書のドラフトにもコメントしてお返ししています。それから、PDCAを回すノウハウは製造業の得意技で、トヨタ財団はトヨタ自動車の協力を得て、トヨタの組織マネジメント『問題解決』が学べる講座を名古屋で開催します。ご興味がある方は、是非チラシを手に取ってみてください。今回名古屋まで行けなくても、ご連絡先をいただければ今後の何かしらの形で講座内容をお伝えできればと思います。そして評価の基礎理論や潮流などにご関心がありましたら、個人的にやっている「NPO評価研究所」というブログ/FBページをフォロー頂ければ幸いです。