今回はThrasher誌2025年9月号掲載「NEVERYWHERE」の翻訳です。副題は「スケートボードを救うためにGirlはツアーに出た/Mike Carrollが説明する」。
Girl Skateboardsの動画「Splinter」の締切が迫る中で敢行された今回のツアー。その理由は?という質問を皮切りに、編集長Michael Burnettによるインタビューが始まります。
「Girl Skateboards "Neverywhere" Tour」というタイトルで動画にもなっているので「Splinter」と合わせてご覧いただくと、この記事の内容について理解が深まると思います。それでは、どうぞ!
―オーケイ、Mike Carrolのインタビューだ。さっそく始めよう。インターネットがありソーシャル・メディアもある現在、スケート・カンパニーがツアーに出る理由を教えてほしい。スケート・ショップにShapchatを送るだけでいいじゃない?なぜGirlは昔のようなUSツアーに出ることにしたんだろう?
それが大切なことだからだよ。というのも、オレたちにはもう少し人と人との交流が必要なんだ。スケートボード界隈もそうだし、この世界にしたって同じこと。コミュニティの存在を感じるためにお互いに個人的な交流が必要だと考えてる。今回、亡くなってしまったスケーターTameron Barishに捧げられたメリーランド州Annapolis市にあるOverflowスケートパーク再建のオープニングを応援するチャンスに恵まれたんだ。シーンの裏方として動いているPure Boardshopのスタッフたちが市から資金を調達して招待してくれたことで本当に特別な出来事になった。それがまず、このツアー全体が動き出す「種」としてあった。それで、せっかくだからNashvilleとAnnapolisの間にある他の都市もチェックしてみようって結論になったんだ。
―なるほど、グラスルーツ(草の根レベルの活動)をやってるわけか。(オープニングは)どんな感じだった?
正直言って参加者数はかなり多かったと思う。たくさんのキッズがいたよ。デモの前にショップでサイン会をやったんだけど、たくさんの人たちが集まってくれた。なかには他のショップからデッキにサインをもらいに来ていたよ。それってかなりアツいよね。ショップとショップの間にビーフがないってことだろ。PittsburghでスケートショップRadioに立ち寄ったんだけど雨が降っててさ、キッズたちはただ雑誌を読んだりしてチルしてたんだ。昔の自分をすごく思い出したね。たくさんのショップがスケートシーンのハブとして機能してた。クールだよね。
Indianapolisのショップを訪ねた時は、しまいにはそこでおもちゃのバスケで遊んでた。昔からオレらが繰り返しやってきたことだよね。「Girlを始めた頃に戻りつつあるみたいだな」なんて冗談を言ってた―ツアーに出て、その日の終わりにはローカルのキッズの家の床で眠る。それも楽しみの一つだったよ。
―そう、それが90年代初期スケートツアーのスタンダードだった。
まさに。楽しかったな。その両親が子どもが連れてきた自分たちより年上の50歳の男が床で寝てるのを喜んでたかどうかはわからないけど。
―うーん、けどオレが言おうとしたのは君とRick(・ハワード)は余裕で倉庫で働いてる若いスタッフとかフィルマーにこのツアーを任せられたんじゃないのかってこと。君らみたいなOGが出向いた理由はなんなのかな?その場にいるのが好きだから?
そう、その場にいるって感覚が好きなんだ。オレはそれしか知らない。これまでの人生、それだけだったよ。それって本当にすごいことに感じてる、個人的に。なぜかというと、コロナ禍以降、今回の動画(Splinter)までツアーに出てなかったから。あのツアー自体は楽しかった。なんだけど、それが終わった直後にオレの妻Candiceが妊娠したことを知ったんだ。それ以来、家を留守にはしたくなかった。というのも、前回オレが彼女の妊娠中に家を離れていた時、流産してしまったんだ。重たい話でごめん、けどオレにとってずっと彼女に付き添っていることが重要だった。良いニュースがあるよ、すべてはうまくいって俺たちは親になったんだ。
ありがとう。その間にたくさんツアーはあった。それでもオレが選択したのは家にいること、ただ父親でいるってことだったんだ。娘はプリスクールに通うようになったから、また人生が開かれたように感じて何かを始められると実感できた。今ならセッションだったりツアーに行くことができる。その間は、妻をヘルプできて娘の人生の一部になれる時に皆とスポットにいるなんて想像できなかったんだ。
―じゃあ、このツアーは君の娘が産まれてから最初のツアーだったってこと?
いや、正確にはこのツアーの前に父親を訪ねるために去年5日間家を離れたことがある。なぜかというと、娘が産まれてから父親と過ごす時間を持つべきだって実感したから。本当に今までにそんな時間を持つなんてことしたことなかったんだ。そうすることの重要性を感じた。だから父親になったことは自分にとっての大きな変化だよね。このツアーに出たことはすごく楽しかったよ。面倒なことに巻き込まれるかなって時もあったけど、たしかに少しは家庭のことを忘れられた。いっぱい声に出して笑ったし、たくさんの笑いがあって、オレたちと一緒にいた仲間たちも本当に良かった。
そうなんだ、皆がLAにいるわけじゃない。いつでもCory、GriffinやBreanaに会えるわけじゃないんだ。プラス、チームの動画や写真を見るとオレはそこに映っていない。チャンスを逃した気になる。それってマジでヘンな感覚だよ。「オレ、どこにも映ってないぞ。ちょっとしたトリックのクレジットもないよな」みたいな。だからそれは変えなきゃなって思った。
そうだね、ありがたいことにこのツアーがあって思いがけずギリギリでクレジットロールに滑り込めたよ。
―グッドジョブ。君は長い間この業界にいるわけだけど、このツアー中に昔の友だちやファンに遭遇した?
ファンはないかな、けど知り合いはけっこう会ったな―AnnapolisのデモでPulaski(DCにある著名スケートスポット)で滑ってるSteve Teagueに遭遇した。嬉しかったな。違うパターンだと、そのデモで皆で誰ともなく数分話してて「え、待って、Mike Carrollだよね?」みたいなことがあった。そう、だからオレだって気づかない知り合いにも何人か再会したよ。
―(ショーン・)Maltoが今じゃベテランの1人って思うとクレイジーなんだけど。
そうだね。冷静に考えたらクレイジーだしファニーだよね。Seanと最初のツアーに出た時、ベイビーRomeroって呼んでたのを憶えてるよ。その頃すでに、彼はハンドレールをLeo Romeroみたいに切り刻んでたからだと思う。本当に若かったなあ。今じゃ、移動車の後部席におっさんたちと座ってるんだからクレイジーだよね。
―ホントだね、ヤバいね。ファンがGirlのオリジナル・チームに詳しくなるのに20年あったわけだけど、時々、新しいメンバーについてはまだ詳しく知らない気がしてるんだ。近況を聞かせて欲しいな。Niels Bennettはいったい何者なの?
彼にとって最初の頃のツアー中、(ブランドン・)Biebelが「ザ・プロフェッサー(教授)」ってあだ名をつけたんだ。2017とか2018年かな。かなり興味深い人物で、大のTom Pennyファン。たくさん疑問を抱えてるんだけど、それって素晴らしいことだよ。あと、細部に細心の注意を払うんだ。Nashvilleでのある晩、皆でKid Rock(ミュージシャン)がやってるバーに行って彼のことを探してたんだ。最終的に彼は連絡を返してきて「君たちは絶対にオレを見つけることができないだろう」って書いてきたんだ。彼は面白いやつだね。
―Griffin Gassについては?彼は何を狙ってるの?
彼のことを「シリアス」とは言いたくないけど、二人でかなり深い会話をしたことがあって、すごく個人的な事柄で繋がったんだ。クールだったね。彼はオレと同じように敏感なタイプだけど、かなり几帳面でもある。ツアー中にもかかわらず、ずっとCory(・ケネディ)とのサイドプロジェクトに取り組んでたよ。たとえば誰かあるスポットでの撮影に苦戦してるとする。Coryが彼のフィルマーなんだけどカメラを掴んでちょっと離れた場所に出かけて、彼のVXカメラ用にフッテージを撮影してるんだ。
まだ仲間がスポットでウォーミングアップしたり、別のスポットにいる時なんかに二人はミニバンに乗って飛び出していく。で、まだ誰も気がつかないうちに撮影を済ませて戻ってくるんだ。
―頑張ってるなあ。Breezy(ブリアナ・ギーリング)については?彼女はどんな感じ?
彼女についてすっごく詳しく知ってるとは言えないけど初めて会った時、タバコをシェアしたことがあるよ、Girlに加入する前にね。今回のツアーは同乗する機会がなかったけど、すごくユーモアのセンスがあるね。他に何かあるかな、すごく意欲的にツアーに参加してたよ。
―彼女らしいね。Simon(・バンヌーロ)ついてはどう?現時点でおそらくトップ5に入るスケーターだと思ってるんだけど。
オレも同意見だね。彼は目の前で見ないと本当のすごさが理解できないスケーターの一人だと思う―(ジョン・)Cardielや(トニー・)Trujilloみたいにね。どれだけ上手いかを理解するには生で目にする必要がある。それからもし君がフィルマーなら彼がバンを降りた瞬間から撮影を準備しておいたほうがいい。バッテリーは充電しておくべき、というのも一日中、毎日滑ってる。例を挙げると、Annapolisのデモの後に皆であるバックヤードプールに行った時も最初に滑りだして最後まで滑ってたのが彼だった。とにかく滑りまくるんだ。
―そうなんだよね、しかもアーリーグラブ360とかやってたし。Girlはテクニカルにレッジを滑るブランドだと思ってたのに!
いやいや、オレたちは単純に人々が求めてるものを提供してる。皆も同じように色々やってたよ、それを撮影しなかっただけでね。
―さて、今や君は父親だ。より優しく穏やかな段階に足を踏み入れた。スケートボード界のロックスターだった年月は過ぎ去ったように見える。人間関係を修復しようって気分なのかな?つまり、数年前に君の長年の友人だったりチームメイトが去って行ったのはかなり大きな衝撃だったからなんだけど。
まあ、そうだね。関係はすでに修復されている。公にはしてないだけで。たとえばEric(・コストン)が抜けて数ヶ月経ってBiebleのパークで彼を見かけたけど特に問題も起きなかった、そんな感じ。あれは2015年だったから10年前のことか。クレイジーだよ、まあだけどビジネスってのはサイテーなもんだよ。
―Biebleについてはどう?ブロックは解除された?
そうそう、そうなんだ。インスタで彼の動画を見てた時でびっくりした。すごく興奮してコメントしてから思ったんだ、彼に連絡取るべきだなって。DMで軽く話したんだけど、楽しかったよ。
―良かった。ヒーローたちが争ってるのを見るのは辛いからね。
うん、彼は順調そうだね。Biebleのことはこれからも大好きだよ。
―もう一つ聞きたいのが君のLakaiからの離脱について。君とRickが以前から筋金入りのスニーカーマニアなのは秘密じゃないよね、ではLakaiを終えた後、最初に履いたシューズは?ジョーダン?
特に選んだわけじゃないけど、最初に履いたのはすでに届いてたVansのオレのモデルの復刻。その後はTiago(・レモスのシグニチャーモデル)とNikeを何回か。まだスニーカーを買ってないよ。欲しいジョーダンがあるけど、父親としてまだ買う気になれないんだ。
―RickがAsicsを履いてる写真を見たんだけどすごくヘンな感じだった。
わかる。SimonがAsics、Manch(Tyler Pacheco) がAddidasを履いているのを見るのはおかしな感じだよ。彼らがLakaiを履いてることに慣れてたからね。GriffinがNew Balance履いてるのも変な感じだけど、彼らがサポートされてることはすごく喜んでるんだ。
そうだね、オレたちはなにか素晴らしいもの作り上げたんだ。今までにやってきたことについて誇りに思うよ。
―もちろん。スケートボードが厳しい状況にあることは皆知っている。それを修正するためにMike Carrollができることは?
オレができることは、今までやってきたこと、つまりスケートボードに情熱を注ぐ、それを続けることだと思う。ショップやチームを支えられるように、人々をスケートボードでワクワクさせるように努めること、そして将来の世代に道を敷いていくこと。コミュニティーを作ってみてほしいね。それってスケートボードがオレに与えてくれた最も重要なことだから。若い世代はスケートボードがリアルだってことを知る必要があると思う。ただスワイプで飛ばして消費していくだけのモノじゃない。そこにいるスケーターたちは実在する生身の人たちで、彼らがやっていることは最高に素晴らしいことなんだ。外に出て友達と一緒に楽しんでほしい。
―よく言ってくれた。では、動画「Splinter」はいつ出るのかな?
2025年6月。観るのが待ちきれないよ。連絡ありがとう。必要あれば編集してもらってかまわないから。
―それ、オレの得意分野。ありがとう、Mikey!♠