東村山市栄町にあるパン屋の内装デザインの計画です。施主はインテリアやファッションに対する感性が高い若い夫婦であった。要望はシンプルで白色とコンクリートの質感を生かした空間がほしい、工事コストは極力低く抑えたいと言った内容でした。パン屋は厨房機器の一つ一つが大きく、多種多様な機器が必要なため、厨房面積がテナント面積の大部分を締める。販売部分の面積は少ないが天井高さは躯体の表しにより約3.5mとなっていました。
そこでこの残り僅かな空間に施した操作は2つ、開放的な高さ方向の空間は活かしつつ、天井レベルを操作し、スケールチューニングを行うこと、お店がオープンしてからも施主の感性を簡単に拡張していくことができる仕掛けを施すことです。
格子の天井をCH2.5mのレベルに設定し、スケールのチューニングと高さ方向の開放感の両立を図った。格子天井は同時にドライフラワーやオブジェを吊るして販売空間を季節や好みに応じて編集できるようにしています。また壁には有孔ボードを設置し、棚やフライヤー置場の増設など気軽に店舗インテリアの拡張が可能である。各種の仕上げについて、白色の塗装壁、既存コンクリート躯体、杉の無垢材、シナ合板、ラワン合板を用いて、全体の色調をチューニングしながら、丁寧にあるべき場所を導きレイアウトすることで、無機性と暖かみを内包した店舗空間を生み出しています。
施主の要望、限られた工事コストを突き詰めて、デザインした空間を体験すると、そこには調律された未完成の空間が表れていました。この未完成の空間は施主たちの感性を刺激していくことでしょう。この空間が施主たちによって永遠に、アップグレードされ続けていくことを切に願います。