囮
旅の道すがら、荒野を歩いていた。
かつてこの地で何があったのかは知らないが、地面に落ちている武器の類から察するに、何か戦乱があったのではないかと思う。
時折獰猛な野生動物がうろついており、決して安全な土地ではないことは明白だった。
途中、前方に石の柱のようなものが見えた。
こんな平坦な場所に石の柱など、随分と不自然な光景だったものだから、気になって目を凝らしてみると、何やら人間が縛り付けられているようだった。
不審に思って近づくと、そこには少年が縛り付けられていた。
綺麗な顔立ちをしていたが、体に何本もの矢が刺さり、至る所から血を流し、まるで拷問に掛けられた後のような出で立ちをしている。
だがボロボロになった衣服の類から見るに、それなりに高い身分の人間だったようにも見える。
思わず声を掛けたが、彼は一言も喋らず俯いたままだった。
縛り付けられている縄を切ってやろうと思って小型ナイフを取り出すと、ようやく何をする気だ、とか細い声を発した。
別にお前さんを殺すつもりはない、ただこの縄を切ってやろうと思っただけだと話すと、余計なことをするなと続ける。
しかしこの場所は危険だし、お前さんのその体もボロボロじゃないかと返すと、少年はまた黙りこくって俯いた。
何があったのか聞くと、長い沈黙の後、彼はおもむろに話し始める。
何百年も前に栄えた強大な帝国と、その政治体制について、そして、バケモノと呼ばれた人間達について。














