よりよいサイトをつくるために、ストーリーを語ろう。
元記事を見る→Build better sites by telling stories | Webdesigner Depot
「ペルソナ」や「シナリオ」という言葉は聞いたことがありますよね? これらがいかにデザインプロセスに役に立つかというお話をしたいと思います。
ペルソナはあなたのサイトのターゲットの中の典型的な存在を指し、ユーザビリティやUXデザインを考えるときに基礎的なツールになるものです。 架空のユーザー代表像といえますが、データに基づく、できる限り実在するユーザーの性質をとらえたものでなければなりません。
シナリオは、ユーザーがあなたのサイトやアプリをさわっている間に「何を経験し/どこに行き/どうアクションするか」を仮定した「ストーリー」です。サイトの中でユーザーが従うべきプロセス、リテラシーの度合い、サイトに関わる理由、動機、達成すべきゴールを説明するものであり、またどのようにあなたのサイト/アプリがペルソナの暮らしに溶けこむか、さわる動機、利用方法、継続性といった毎日のシチュエーションをも仮定します。
ペルソナとシナリオはお互いに連関しながら、誰かがあなたのサイトを使うときの様々な文脈を説明し、取り組むべき課題や機会をスッキリさせてくれることでしょう。
ペルソナとシナリオで何がよくなる?
ペルソナとシナリオの活用は、プロジェクトの場面ごとにデザイナー・開発者とターゲット層を結びつけ「私たちはユーザーのためにモノづくりをしている」ことを強く意識させてくれます。
例えばあなたがカラーピックアップのためのアプリを作っているなら、ペルソナは「こんなアプリが使いたい!」というニーズを持ってる人だ、それはきっとデザイナーとか部屋の模様替えを考えている人に違いない、と考えるかもしれませんね。これこそが文脈を意識することであり、そこに意味があるのです。ランダムな配色ジェネレーターより色のペアを提案するようなカラーピックアップアプリの方が当たる! というような判断をするときにペルソナとシナリオはとても便利です。
あなたが考えを巡らせることで、ユーザーが本当に求めこだわっている機能や仕様が見えてきます。プロジェクトの最初から終わりまでユーザーのことを見据えていれば、スキのない工程・効率的で効果的なプロジェクト進行が実現するのです。
ペルソナとシナリオがもたらす利益
デザイナーはペルソナのメンタルモデルを通して、わたしたちのデザイン上の決断に対して、ユーザーがどう反応するかをハッキリと推し量ることができます。「この問題をどう解決するか」という問いは「フリーランスデザイナーのアンジーくんにぴったりの解決策はなにか」という問いに変わります。ペルソナとシナリオの設定、このシンプルで本質的な作業をすることで、私たちは「このプロジェクトは私たちのためでなく、ユーザーのためにある」ということをいつでも思い出すことができるのです。そう、これこそがペルソナとシナリオの最大の効果といえましょう。
より具体的な話をしましょう。ペルソナはあなたのサイト/アプリにユーザーのための個性をもたらします(いい話でしょ?)。
あなたはサマンサというペルソナを設定しました。彼女はお気楽なヒッピーのようなグラフィックデザインを学ぶ学生です。高い技術を持っていますが、いささか優柔不断なところがあります。あなたのカラーピックアップアプリは彼女の優柔不断さにぴったりですね。
ユーザーが特定のゴールへと旅する間、彼らの個性や価値観とシナリオは対話を続けています。彼女が友達にこのアプリをどのように勧められていかに最初の体験をするか、それは便利に思ってもらえるのか、それとも混乱させてしまうのか。シナリオを用いることで、あなたはこれらをよくよく見通すことができるのです。
また、関係者から振りかかるディレクション上の変更に関しても、ユーザーへの視点を共有していればこれを食い止めることができるでしょう。その関係者は心の中にいる特定の個人のことを考え、プロジェクトに対して人と接すような気持ちを持ち、その方針を変更するということがいかに大きな影響を及ぼすのかということを想像できるようになるからです。以上、これがペルソナの効果です。絵空事の落書きのような簡単な人物設定がこれだけの力を持ってるんですよ!
また、決定の度に実在のユーザーにインタビューする手間とお金のことを考えると、とても安価な施策であることも付け加えておきましょう。
「物語る」ということは本質的に強い力を持っているものです。それは人を惹きつけ、そこには楽しみと知恵が潜んでいます。シナリオの中を生きるペルソナが、あなたのチームとユーザー層を強くつなげます。彼らに直接語りかけることはできずともペルソナたちは活き活きと動き出し、ユーザーが抱えている問題・将来の課題をどのように自己解決していくかのヒントをあなたのチームに与えてくれることでしょう。ターゲット層の目線から見える問題について考えるときにも有用です。
多くのペルソナたちがあなたのデザインの基礎を固めてくれます。自分自身の考えやプロジェクトそのものに縛られてしまいがちだからこそ、私たちは主役は自分でなくユーザーなのだときちんと意識する必要があります。壁にかけられたたくさんペルソナ(訳者註:仮面の意)こそユーザーを忘れないようにするための大切な存在です。私たちはプロジェクトにのめり込むほど、自分の仕事に追われて客観的に考えることができなくなってしまい、それが作品の質に悪影響を与えます。ユーザーが喜びもしないものをデザインするような愚を犯さないように気をつけてください。
適切なペルソナとシナリオを設定する
大切なのは適切なペルソナとシナリオを作ることです。まず第一に、あなたが的外れなユーザー像に振り回されないように、設定するペルソナは実際のユーザー調査に基づくものである必要があります。データがはじき出せたら、実際にペルソナを仮定し、その個性やスキル、動機などを適切に与えてください。彼らがあなたをうまく導いてくれることでしょう。
シナリオも同様です。しっかりとペルソナを作り込んでいるなら、シナリオもしっかりとしたものになり、ユーザーが直面するであろう隠れた問題を指し示してくれることでしょう。もう一つ、優れたペルソナとシナリオを作り出すのは、あなたのプロジェクトへの日頃の努力です。
むすびに
ペルソナとシナリオを設定することはUXデザインの中核のひとつです。プロジェクトにこれを欠かせることはその質を著しく低下させます。UXデザインとはユーザーの経験の最大化への努力であるからです。制作時にこれを忘れると、ユーザー体験はその予想と期待を裏切るものとなってしまいます。逆にこれらのツールを使えば、ユーザー体験の著しい向上をもたらせること間違いなし、というわけです。
筆者:Paula Borowska
訳:深沢 幸治郎(水交デザインオフィス)
訳者コメント:「私はUXデザインをやっています」という人は少ないでしょうが、ウェブサイトをデザインするということは必然的にユーザーの経験をデザインすることであり、このお話に無縁なデザイナーさんはいないでしょう。漠然とした「ターゲット層」は意識するけども、典型的なペルソナとシナリオまでは描いたことがないという方も多いはず(私がそうです)。試しにこれでやってみますかねえ。












