#11 - Cthulhu
ほっとしたよ本当に…
という事で一度つくってみたかった5弦ベースが完成。納品も出来て安堵の晩を過ごしています。るいなと申します。
最近は昼間の風もひんやりしてきましたね。読者の皆さんはいい夏過ごしましたか?
僕はサンダルで樹海を散歩したり、公園の芝でゴロゴロしたりした。深夜に近所の大学の部室に侵入してスタジオでメタルコアを流すなどもした気がするね。他にもまあ、色々あったヨネ!!
いや、でもほんとよかった…完成しないかと思ったもん。それがつい先日納品できた喜び。この夏はそれに限る…!
好き放題つくらせてくれて何より楽しかった。
配線とかも最初全然わかんなくて…色んな人に聞いたなぁ。経験ない仕様なのに
「出来ます!やります!」って言っちゃう自分、アホすぎる…
さて、そろそろ始まります超長文レビュー。
さっそく全体像行ってみよ〜!
全体の印象はやはり圧巻…オーラがすんごい…"クトゥルフ"の名前に相応しい、ジャズベーススタイルには過剰なほどのスペックをこの身に宿している。以前、"神器"とか言ってくれた厨二病の人たちが居たけど本当に嬉しい。確実にゴッドイーターのやりすぎ。PSP懐かし…
表紙を飾るのは"世界地図"のようなスポルテッドメイプル。
オーナーの1番のこだわりでもあるが、ただグレードが高いだけではない。
そもそも"スポルテッド"という木材はいわゆるグレードが高くなるに比例して朽ちている箇所が多く、指で押しただけでも粉々に砕けていく。爪なら切断とか出来るじゃね…?
だがこの個体を見てくれ、中心部である弦の真下は朽ちていない硬質なメイプルの芯を配置。やや赤く見えるところが木材本来の朽ちていない、硬い部分である。
そしてサイドの地図のような侵食跡が朽ちている部分なのだ。ここは非常に柔らかい為、エポキシを染み込ませ、砕けないように補強した。
柔らかいスポルト材を使いながらも木の位置を調整し、楽器の中心部は朽ちていない硬いメイプル材を使用した。
ま!何言ってるかわかんないと思うけど!要するに、いいトップ材ゲットだぜ!という事だ。全体にびっしり"縮杢"も入ってるしな!
次に中間層、ミドルレイヤー担当はウェンジだ。
トップ材では、とても柔らかいものを使用したので真ん中には軸として硬めのマテリアルを入れ込む。
いや、カッコつけて言ってみたけど単純に見た目優先だよね。デザイン的にも縁取りがあって引き締まる。
バック材はアルダー。やはりリスペクトしたいのは60年代のジャズベース(こんなの発表しておいてどの口が言ってんだ…?
コンターカットの深さや形状もオーナーと相談しながら造形。木材本体の重量としても負担の少ないよう、勝手に軽い個体を選定。ただでさえ重い5弦ベースだからね。
みて!このネックジョイント!ほんと気持ち悪いよね〜(褒めてる
ネック側にも15点のエンザートを入れ込む。
いや何度見ても気持ち悪い(めっちゃ褒めてる
集合体恐怖症の人に、
「アッ…僕これダメですッ….!!」
って言われちゃったてへ
あとこのカッタウェイね。
ハイフレットが弾きやすいように削った。
確かに造形はめんどくさいけど、「弾きやすい」の言葉には敵わないって…そりゃ…もう…ねぇ…
見た目もヌルヌルしててかわいいし!
もちろん裏通しで弦も張れるようになってる。
出来ないよりは出来る方がいいでしょ?
みんな大好きGOTOH製。
これは僕がギターをつくる時に毎回恒例の構造なので今回も当然採用した。シールドをストラップに掛けやすいし、トラブルにて抜ける際も機材にダメージが少なかった。機能優先なのに結果として秀美性も高くなっちゃってるよね。そういうの、めっちゃすき。
ネックに使用したのは柾目のメイプル。
一度セットアップしたら動きにくい、という楽器が好きなので勝手に柾目を採用。
もちろん過酷な環境での使用が多い方からのご依頼であれば板目などを使用し、"調整して弾きやすくする楽器"を製作する。これは完全に僕の独断。
形状はお馴染みの左右非対称。
「4弦+1弦」という思考のもと、4弦ベースのネック形状から低音弦側へ、ほんの少し引き伸ばしたようなイメージで削りだした。
オーナーに加工途中のネックだけ郵送し、確認してもらいながら進めたけど、結局好き放題やらせてもらった。ありがとうございます本当に。
カーボンは4本入り。
ネックジョイント部などから折れ曲がり、ロッド調整でローポジションが逆反る、いわゆる「うねる」ネックにならないよう、今できる最善の構造を採用。
その機構を袋とじにしているのはこのホンジュラスローズウッド。
オーナーのこだわりにてグラデーションの色味がとても美しい個体を選定。まるで夕焼け。
インレイはアバロン貝。高級感の代名詞。
実は弦の太さを考慮して、"真正面から見た時に均等"になるよう調整をしている。
気になるスケールは34.25~33インチのファンドフレット。
“ファンドフレットジャズベース"これだよこれこれ。これがしたかったの!!!!!(うるさい
大好きなベーシスト、アドリアン・フェローの使用するベースでも採用されている34.25インチを5弦側に。通常より"0.25インチ"長いのだが、これを気持ち程度の差だと侮ってはならない、確実に34インチのLOW Bとは再生力が異なる。
そして高音弦側の33インチ。
これは前回のクトゥルフベースでも説明したが、フレットレスベースなどでも採用される意外とポピュラーなスケール。何より弾きやすい。
「錆びにくいステンレスを使いたいのだけれど、音はニッケルのように柔らかいのがよくて…」
との事でフレットはフリーダムC.G.R.さんのウォーム、SF-01Wを使用。
切ったり削ったりしてるとわかるんだけど、本当にステンレスか?と疑うくらい柔らかい。粘り気の強い金属なのだろう。
次にハードウェアを見ていこう。
朽ちていないスポルト材の上に座り込むこいつはドイツ産、ABMシングルサドル。輸入めんどくさいけど大好き!!!コピー品も多く出回っているが、本物は桁違いにメッキの処理が薄く艶やかである。
そして過去作同様、弦間ピッチを統一しているので、ブリッジ本体の位置が"弦と弦の間の長さが等しくなるよう配置"されている。
こんなこだわり、ほとんどの人が興味ないんだよな…いい音が鳴ればそれでOKなわけで…
音を拾うマイクはアギュラーのAG 5J-HC。
僕はよくわからんけどなんかこれがいいらしいので言われるがままにつけた。実際良かったから完成した後に説得された感じ。やっぱり共同製作って色々勉強になるね〜谢谢谢谢。
操作系統もこれまたこだわり強め!
フロントVo. / リアVo. / マスタートーン / トレブル / ベース / アクティブバイパススイッチ
これも僕はよくわからんかったから言われるがままに配線。
ただ気持ちはわかる。全て独立して操作したいし、マスタートーンが常に効くようになってるのだが、それがいい。モコモコにするととても楽しい。これまた僕が説得させられた感じ。これすら狙ってたオーナーさん、もうベースつくれると思うんだよな…
いや、なにこのキャビティ最高?神殿?王宮?城?
配線はとにかく難しかった、こういうの疎いんですよ。とほほ…
元職場の先輩とか、機材詳し過ぎ友達とか、店内でずっとDream Theaterのライブ映像が垂れ流されてる地元のリペアショップさんとか…色んな人のところに聞きに行ったね!それもまた一興。楽しかった。
そしてピックガードもオーナーこだわりの4mmアクリル。
演奏時の指の入り具合などを調整する為らしいのだが、これまた原材料の入手から大変で!!!
明らかに楽器用ではないアクリル板をメートル単位で発注したがそれもまたいい思い出。
もちろん固定は全てインサートにて締結。
お次はヘッド。
ペグのHIPSHOT。一生分買い貯めたい勢いで好きなメーカー。最近納期遅いけど…そんなところもかわいいね!
クトゥルフロゴも「サイコー!!!」になったよね。軽率に叫んだもん。1人で工房で。
メイプルに綴られた黒いインク。海の怪物、"Cthulhu"に相応しい風貌に仕上がる、これもまたひとつの幸せの形だと思う。こういう自分しかわかんないノリを強要しちゃうのやめたい。
てか、後ろ姿からして既にオタク。
全てインサートにて締結。
まあ、ここは別に頻繁に取り外さないからインサート使わなくてもいいんだけど…なんか使った方がかっこいいじゃん?
ボリュートは"生き物感"万歳。
ヌメっとした海洋生物の足をイメージして造形。つくってる時は「サイコー!!!」を連呼していたね。もちろん1人で工房で。さみしいね。
ナットはブラス。
初めてやったけどこの構造すごいすき。指板の端まで削られていない"置いてある"状態のナット、とてもかわよい。ちょんって座りよる。たまらん。
サイドのインレイは黒縁のルミンレイ。
もうこれは説明不要だよね。蓄光素材で暗闇で光る。目に優しくライブでの暗転が怖くない。最高と言わざるをえない。サイコー
さて、一通り語ってみたわけだが〜
ここまで辿り着けた者は何人居るのだろうか…
ちなみに初めて音出しした時「フェ◯ダーってこれ目指してたんじゃないの?」って口に出して言っちゃってたもんな(やばい迫害されるこの場でだけは許してくださいごめんなさい怒らないで
まあ、まだ完成したばかりのいわば"産まれたて"の楽器。これから色々あるかもしれないが出来る最善で応えていきたい。
紹介しきれない沢山の周りの人のお陰様でこうして完成を発表出来ました。本当は全員名指しでお礼したい。
ありがとうございます。
まだまだ至らぬ点もあるかとは思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
あれ〜、最後の終わり方こんなあっさりでよかったっけ…
【SPEC】
Model : Cthulhu
String : 5 (Gauge : .045 .065 .085 .105 .130)
Scale : 33~34.25
Body
Top : Spalted maple
Middle : Wenge
Back : Alder
Pickguard : Acrylic (Clear : 4mm)
Neck
Nut : Brass
Fret : 21 (Freedom C.G.R. SF01W)
Fingerboard : Honduras rosewood
Inlay : Abalone
Side inlay : Luminlay (Green : 3-5)
Hardware
Color : Black
Bridge : ABM
Tuners : Hipshot
Pickup
Aguilar : AG 5J-HC
Control
F Vo. / R Vo. / M Tone / Treble / Bass / Bypass switch
Preamp : OBP-1TK 18V
Knobs : HATA
Urethane matte finish
【謝辞】※敬称略
GTI(@go_drums)
図面作成・CNCによるフレット溝・ボディ外周等の切り出し
kono.(@kono_picture)
ロゴ・スペックシートデザイン作成
今さっきトリマーっていう機械で親指削っちゃってやばい。血が止まらないし爪とか色々がぐちゃぐちゃ。楽器つくってて初めて怪我したかも…地に足をつけて生きていかないとなあ。気をぬくとすぐ浮遊しちゃうので













