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浅田 話は違っちゃうけど、僕は大江健三郎の『セヴンティーン第二部/政治少年死す』をいま出すべきだと思うんですよ。あれは右翼に攻撃されて以来、一切活字になっていない。いわば自主的検閲状態にあるわけ。本当を言うと『セヴンティーン』で基本的なアイディアは出尽くしてるし、そのアイディアにしても天皇をあまりにもファロセントリックに描いていて、その天皇との同一化の幻想によって確実なオルガスムに達するという、それはちょっと単純すぎると思うけど、内容はこのさい関係ない。ラシュディやナスリンの苦境を考えても、大江健三郎がノーベル賞を取った今こそあれを出すのが、ノーベル賞の唯一可能な善用の方法だと思う。
坂本 そうやって一瞬に要約して聞いてみると、ほとんど三島由紀夫みたいだね(笑)。
浅田 そう、三島のネガを書いているともいえるけどね。右翼がそれに反発してのも分かるんですよ。左翼が外から批判してもあまりこたえないけれど、自分たちの内面に踏み込んで書かれるとね。
坂本龍一、浅田彰『2032年のグレン・グールド』(河出書房新社、文藝別冊『グレン・グールド』より)
姿勢がいいピアニストは嫌いだ 坂本龍一 僕がなぜルービンシュタインが嫌いかというと、姿勢がいいわけ(笑)。ということは上半身の力が全部、鍵盤にかかるわけ。すると、もう割れんばかりに強い音が出るけれども、汚い音になる。で、グールドは、ほとんど指の力だけで弾いてて、肩とか腕の力は使ってない。フォルテを弾くときも指で弾いてる。だから音が非常に清潔でクリアで、アタックとそれから切れるところがはっきり聴こえる。その違いはあるね。浅田彰 いわゆる “良い姿勢” というのは、結局、19世紀型のコンサート・ピアニストの姿勢だからね。要するに、大きなホールで、デカい音で聴衆を隅々まで制圧するための弾き方だから。坂本 リストがそうだね。浅田 大体、本当に優れたピアニストって、そういう意味では “正しい弾き方” をしない人たちなんじゃないの? コンサート型の人ですら、例えばホロヴィッツなんて、無茶苦茶な弾き方をしてるわけで、ほとんど指で鍵盤をはじいてるでしょう? それがすごくきれいな音になるわけだからね。でも、坂本さんは割と姿勢がいいんじゃない? この間、京都でコンサートを聴いたときも、なかなか立派な姿勢で、感心しちゃった。坂本 いや、とんでもない。子供のときからすごく姿勢が悪くて、まあグールドの真似をしてたということが大きいんだけれど(笑)、最近それを言われまして、あまりにも姿勢が悪いんで、直してます。浅田 でも、エレクトロニクスを使うようになると、無理にガンガン弾かなくてもいいわけだしね。坂本 グールドは最初からレコーディングのために弾いてたわけで、マイクロフォンとアンプリファイアーさえあれば、それほど大きな音で弾かなくても、ちゃんと最後まできれいなクリアな音で録音できたから、居丈高になって精力的にガンガン弾く必要はない。それは言ってみれば、ジョン・ケージがマイクロフォンを使って、音の拡大、聴覚の拡張ということを始めたのと、ちょっと似てますね。浅田 たしかに、エレクトロニクス時代の音楽ってことなんだろうな。ディジタルというのはもともと “指” という言葉から来てるけど、その意味でディジタルだと思う。だって、あれはまさに “指の音楽” だし、またそのことがあの音楽をすごく分析的にしてるわけだし。坂本 そうだね。浅田 もちろん、グールドのバッハは大好きだし、ベートーヴェンも素晴らしいと思うけれど、ロマン派とかでほんとに混濁してどうしようもないものをグールドが弾くことでフワーッと霞が引いていくような感じがする、その感じってのも好きだな。坂本 そういう意味で非常に古典的というか、ある意味では保守的ですね。その曲の作られ方を非常に明確に辿っていく弾き方をしていて。高橋悠治なんかは、言ってみればクセナキス的に弾いてしまうというか、ある音の集合が確率分布してるような弾き方で、何を弾いてもそうなっちゃう。だから、例えばベートーヴェンのある曲がどういうふうに作られているかということは、別に演奏上ではフォローしていかないというやり方ですね。雲の分布図みたいな弾き方を、高橋悠治はしていると思う。浅田 それは一つには、練習してなくていい加減だからだ、という説もあるよ。なにしろ、家にピアノがないというのが自慢なんだから(笑)。坂本 そう、そう。練習しないというのが自慢なんだからね。
「坂本龍一✕浅田彰 2032年のグレン・グールド」文藝別冊 グレン・グールド〈増補新版〉、河出書房新社、2011年 (via shbttsy74)
12
赤死病の仮面
西の壁に黒檀製の巨大な柱時計がかかっているのも、またこの部屋であった。その振子は、にぶく、重々しく、単調な響きを立てて左右に揺れた。そして分針が文字板を一回転し終わって、時計が時を報じるようになると、時計の真鍮製の肺臓からは、澄んだ、大きな、深い、そしてきわめて音楽的ではあるが、しかし何か一種独特の誇張されたような調子をおびた音が発せられた。そこで、オーケストラの楽手たちもやむなく奏楽の手をしばらくやすめて、この音にしばらく耳をかたむけずにはおられなかった。またワルツを踊っている者たちまでも、その旋回運動をやむなく停止した。こうしてこのにぎやかな一団には、ほんのしばらく動揺が生じた。この時計の時を報ずる音が鳴りひびいているあいだは、もっとも浮き足立っている者たちさえ、その顔色が蒼ざめ、比較的年を取って落ち着いている者たちも、何か心うろたえて思い出か思案にでもふけるかのように、その額のあたりを手でなでまわすのがみとめられた。しかし時を打つ響きもすっかり鳴りやむと、一同の者はみなまたただちに明るい笑い声をたてた。楽手たちはおたがいの顔を見合って、おろかしくもいやに神経過敏になったことを自嘲するかのように、ほほえみかわすのだった。そして、このつぎ時計が鳴りひびくときは、もうこんな思いにかられたりはけっしてすまいと、おたがいにひそひそ誓い合うのであったが、しかしまた六十分たってみると(というのは三千六百秒の時が流れ去ることになるのだが)、また時計が時を報ずる音が鳴りひびく。するとやはりまた前と同じように、みなの者たちはうろたえ、身ぶるいし、思い沈んでしまうのだった。
松村達雄訳
It was in this apartment, also, that there stood against the western wall, a gigantic clock of ebony. Its pendulum swung to and fro with a dull, heavy, monotonous clang; and when the minute-hand made the circuit of the face, and the hour was to be stricken, there came from the brazen lungs of the clock a sound which was clear and loud and deep and exceedingly musical, but of so peculiar a note and emphasis that, at each lapse of an hour, the musicians of the orchestra were constrained to pause, momentarily, in their performance, to hearken to the sound; and thus the waltzers perforce ceased their evolutions; and there was a brief disconcert of the whole gay company; and, while the chimes of the clock yet rang, it was observed that the giddiest grew pale, and the more aged and sedate passed their hands over their brows as if in confused reverie or meditation. But when the echoes had fully ceased, a light laughter at once pervaded the assembly; the musicians looked at each other and smiled as if at their own nervousness and folly, and made whispering vows, each to the other, that the next chiming of the clock should produce in them no similar emotion; and then, after the lapse of sixty minutes, (which embrace three thousand and six hundred seconds of the Time that flies,) there came yet another chiming of the clock, and then were the same disconcert and tremulousness and meditation as before.
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(SHED YR SKIN – NOMI CHI {ILLUSTRATION/EXCLUSIVE INTERVIEW} | NAKID MAGAZINE - 2017から)
While most photographers jostle to document life on street level, Patrick Cashin alone gets to capture everything going on beneath NYC's surface.
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(Body Modification Enthusiast Transformed Herself Into A Pixie Dream Girl - 9GAGから)
20%OFF bridesmaid girl, wildskin, bohemian dress, alternative girl, small woman, fairy dress, ring girl dress, wedding, gypsy,woodland
(Jillian Dickson (Ludwig) : Drawings : "UNDERWEAR" 2016から)
(Nicolas K Feldmeyerから)
(世界が抱える環境移民という時限爆弾 | Picture Power | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトから)
(大荒れトランプ政権、経済政策の命運を握る2人のキーパーソン | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトから)